宗教改革と農民戦争（1524 - 1525年）。この二つの出来事は直接関係しているのでしょうか？ 実は、宗教改革は農民たちの不満を爆発させるきっかけとなり、結果的に農民戦争の引き金になったと考えられています。

 

では、宗教改革が農民戦争をどのように引き起こしたのか？ その背景と影響を詳しく見ていきましょう！

 

 

農民戦争の背景

農民の不満の高まり

16世紀のドイツでは、農民たちは重税や領主による厳しい支配に苦しんでいました。

 

• 領主が農民から高額の税金を取り立てる
• 自由を奪われ、農奴として酷使される
• 農民の土地が次第に貴族や教会に奪われる

 

このような状況の中で宗教改革が起こり、農民たちは新しい希望を見出すことになります。

 

ルターの教えが農民を刺激

マルティン・ルターは「人は信仰のみで救われる」と説き、教会の権威を批判しました。これを聞いた農民たちは、「それならば領主や貴族の支配にも従わなくていいのでは？」と考えるようになったのです。

 

特に、ルターの考えを過激に解釈したトマス・ミュンツァー（約1489 - 1525）は、「農民も神のもとで平等である」と主張し、農民たちを扇動しました。

 

農民戦争の勃発

1524年、各地で反乱が発生

1524年、南ドイツを中心に農民たちが立ち上がり、貴族や教会の支配に対して反乱を起こしました。

 

農民たちは「十二か条要求」という文書を発表し、以下のような要求をしました。

 

• 農民にも信仰の自由を認めるべき
• 重税を廃止し、公正な取り決めをする
• 農奴制を廃止し、農民にも自由を与える

 

この反乱は瞬く間に広がり、ドイツ各地で農民たちが貴族の城や教会を襲撃しました。

 

ルターの態度の変化

意外なことに、ルターは最初は農民たちに同情していました。しかし、暴力的な反乱が広がると、彼は領主側を支持するようになります。

 

ルターは「農民の行動は神の意志に反している」と宣言し、領主たちに対し武力で鎮圧するよう呼びかけたのです。

 

農民戦争の結末と影響

1525年、農民軍の壊滅

1525年、貴族や領主たちは武力で農民を鎮圧し、戦争は終結しました。最終的に約10万人の農民が殺害され、多くの指導者が処刑されました。

 

宗教改革の影響

農民戦争の失敗により、農民たちは政治的な権利を得ることができませんでした。しかし、この戦争によって、宗教改革は単なる信仰の問題ではなく、社会の大きな変革につながる可能性があることが示されました。

 

その後、宗教改革は国家や貴族の支持を受けた形で進んでいくことになります。

 

まとめ