
宗教改革によってプロテスタントが広がると、カトリック側もただ黙ってはいませんでした。カトリックの立場を守り、プロテスタントに対抗するために動き出したのが対抗宗教改革です。その中心的な役割を果たしたのがイエズス会でした。
しかし、もともとカトリックにはフランシスコ会のような伝統的な修道会も存在していました。では、イエズス会の思想はどのようなものだったのでしょうか? また、フランシスコ会とどのような違いがあったのでしょう? 本記事では、イエズス会の思想や活動を中心に、フランシスコ会との比較を通してその特徴を分かりやすく解説していきます!
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まずは、イエズス会の成り立ちと思想を見ていきましょう。
イエズス会は、イグナティウス・ロヨラ(1491 - 1556)によって1534年に創設されました。その目的は、プロテスタントに対抗し、カトリックの信仰を広めること。特に教育や宣教を重視し、世界中に影響を及ぼしました。
イエズス会の最大の特徴は軍隊のような規律と高度な教育です。会員はローマ教皇に絶対服従を誓い、世界中どこへでも派遣されました。また、学問にも力を入れ、多くの大学や学校を設立しました。
では、イエズス会とフランシスコ会はどのように違うのでしょうか?
フランシスコ会は聖フランチェスコ(1181/82 - 1226)によって13世紀に創設された修道会です。その基本理念は「清貧・謙虚・奉仕」。つまり、贅沢を避け、貧しい人々と共に生きることを大切にしました。
イエズス会は、対抗宗教改革の中でどのような役割を果たしたのでしょうか?
イエズス会は高等教育に力を入れ、多くの学校や大学を設立しました。例えば、現在でも有名なパリのコレージュ・ド・クレルモン(後のリセ・ルイ=ル=グラン)や、ローマのグレゴリアン大学はイエズス会の教育機関です。
イエズス会は宣教師を世界中に派遣しました。特に、アジアや南米での布教活動が有名で、 例えば
などの宣教師が知られていますね。彼らは現地の文化に適応しながら布教を進め、カトリックの勢力を拡大しました。
イエズス会は、プロテスタントに対抗するために討論や論争を積極的に行いました。特に、カトリックが影響を失いかけていた地域では、イエズス会士が派遣され、カトリックの立場を守るために活動しました。
両者は異なる特徴を持ちながらも、共通する点もありました。
フランシスコ会もイエズス会と同様に世界中に宣教師を派遣しました。例えば、フランシスコ会士はアメリカ大陸での布教活動に積極的に関与し、先住民への布教を進めました。
どちらの修道会もカトリックの立場を守るために尽力しました。イエズス会は知的・教育的なアプローチで、フランシスコ会は人々との直接的な関わりを通じて、カトリックの教えを広めていったのです。
イエズス会は、対抗宗教改革の中心的な役割を果たし、教育・知識・布教を重視した修道会でした。一方、フランシスコ会は貧しさ・謙虚さ・奉仕を基本理念とし、貧困層への支援を重視していました。
どちらもカトリックの防衛に貢献しましたが、イエズス会は知的エリートを育成し、世界中に影響を与えたのに対し、フランシスコ会は草の根レベルでの福祉活動を重視しました。
このように、対抗宗教改革にはさまざまな戦略があり、それぞれの修道会が異なる形でカトリックの立場を支えていたのですね。