宗教改革で生まれた新しい宗派とその特徴

宗教改革によって、カトリックとは異なる新しい宗派が次々と生まれました。これらの宗派は、それぞれ独自の教義や考え方を持ち、ヨーロッパ各地で広がっていきました。

 

では、宗教改革によって誕生した代表的な宗派とその特徴を見ていきましょう!

 

 

宗教改革で生まれた主な宗派

① ルター派(ルーテル派)

創始者: マルティン・ルター(1483 - 1546)
主な地域: ドイツ、北欧(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)

 

特徴:

  • 「人は信仰のみによって救われる」という信仰義認説を重視
  • 「聖書だけが信仰の基準」とする聖書至上主義
  • 「万人祭司」の考え(すべての信者が直接神とつながる)
  • カトリックの聖職者制度を否定し、司祭ではなく牧師が指導者となる

 

ルター派は、宗教改革の最初のプロテスタント宗派であり、カトリックの伝統を残しつつも、教皇の権威や免罪符を否定しました。

 

② カルヴァン派(改革派教会)

創始者: ジャン・カルヴァン(1509 - 1564)
主な地域: スイス(ジュネーヴ)、フランス(ユグノー)、オランダ、スコットランド(長老派)

 

特徴:

  • 「人は神に救われるか否かがあらかじめ決まっている」という予定説を重視
  • 厳格な生活規律を求める
  • 教会の運営は信徒による自治が基本(民主的な運営)
  • カトリックの儀式や装飾を徹底的に排除し、シンプルな礼拝を行う

 

カルヴァン派は、商工業者や都市の住民に支持され、フランスではユグノー、オランダではオランダ改革派、スコットランドでは長老派(プレスビテリアン)として発展しました。

 

③ イギリス国教会(聖公会)

創始者: ヘンリー8世(1491 - 1547)
主な地域: イギリス、アメリカ(エピスコパル教会)

 

特徴:

  • 王が教皇の代わりに宗教の最高権威となる(国王至上主義)
  • カトリックの教義や儀式を多く残しつつ、教皇の権威を否定
  • 司祭制度は維持され、カトリックとプロテスタントの中間的な立場

 

イギリス国教会は、ルター派やカルヴァン派とは異なり、政治的な理由で生まれた宗派でした。ヘンリー8世が教皇から独立するために作ったため、教義の変更よりも「誰が宗教のトップか」が重要なポイントだったのです。

 

宗教改革が生んだその他の宗派

④ アナバプティスト(再洗礼派)

特徴:

  • 幼児洗礼を認めず、成人の信仰告白後の洗礼を重視
  • 国家や政治との関わりを拒否し、信仰共同体を作る
  • 極端な平和主義をとる派も多い

 

アナバプティストは、ドイツやスイスで生まれましたが、カトリック・プロテスタント両方から迫害を受けました。のちに、メノナイトアーミッシュといったグループがこの流れを受け継ぎます。

 

⑤ ピューリタン(清教徒)

特徴:

  • イギリス国教会をさらにプロテスタント的に改革しようとしたグループ
  • カルヴァン派の影響を受け、厳格な信仰と勤勉な生活を重視
  • 17世紀にアメリカへ移住し、清教徒社会を築く

 

ピューリタンは、イギリス国内で国教会と対立し、一部のグループはメイフラワー号でアメリカへ渡り、後のアメリカ社会の基盤を作ることになりました。

 

宗教改革による宗派の多様化

宗教改革によって、キリスト教はカトリックだけでなく、多様な宗派に分かれることになりました。特にプロテスタントの中では、「神と人の関係は直接であるべき」という考えのもと、それぞれ異なる信仰スタイルを発展させていきました。

 

カトリックの対応(対抗宗教改革)

宗教改革に対し、カトリック教会も内部改革を行い、信仰の立て直しを図りました。これが対抗宗教改革と呼ばれる動きで、イエズス会の設立や、カトリックの教育の強化が進められました。

 

こうしてみると、宗教改革は単にカトリックに反対する運動ではなく、「信仰をどう考えるか」によってさまざまな宗派が生まれたんですね! どの宗派も、それぞれの時代や社会に合わせて発展していったのが面白いところです。歴史の流れって奥深いですね!