宗教改革は「近世」か「中世」か？ これは意外と悩ましい問題ですよね。歴史の時代区分は明確な線引きがあるわけではないため、宗教改革がどの時代に属するのかは議論が分かれることがあります。

 

結論から言うと、宗教改革は「近世」に属すると考えられることが一般的です。では、なぜそう言えるのか？ その理由を詳しく見ていきましょう！

 

 

近世と中世の違い

中世の特徴

中世（5世紀～15世紀）は、封建制度やカトリック教会の支配が特徴の時代でした。

 

• 教皇が強い権威を持ち、ヨーロッパの宗教と政治を支配
• 封建制度による身分社会
• 知識や学問は主に教会が管理

 

この時代、信仰は個人のものではなく、社会全体で共有されるものでした。

 

近世の特徴

近世（15世紀～18世紀）は、中世から脱却し、中央集権国家の形成や宗教の多様化が進んだ時代です。

 

• ルネサンスの影響で「人間中心の考え方」が広がる
• 絶対王政が確立し、国王が宗教を管理
• 宗教改革によってカトリックの独占が崩れる

 

こうした動きの中で「信仰の自由」「個人の判断」といった概念が生まれ、宗教がより個人のものへと変わっていきました。

 

宗教改革が近世に属する理由

カトリックの支配が崩れた

宗教改革が起こるまで、ヨーロッパはカトリック教会がすべてを支配する中世的な社会でした。しかし、宗教改革によってプロテスタントが生まれ、カトリックの権威は大きく揺らぎました。

 

この変化は、中世的な宗教のあり方が終わりを迎え、近世の宗教観へと変化したことを意味します。

 

中央集権国家が誕生

宗教改革の影響で、ヨーロッパの各国は以下のように国家が宗教を管理するようになりました。

 

• イギリス：ヘンリー8世がイギリス国教会を設立し、王が宗教の最高権威となる
• ドイツ：諸侯がルター派かカトリックかを選択できるようになる
• フランス：ユグノー戦争を経て、国家と宗教の関係が変化

 

こうした「国が宗教を統制する」流れは、近世の特徴である中央集権化と密接に関係しているため、宗教改革は近世の始まりを象徴する出来事と言えるのです。