
「宗教改革」は16世紀にヨーロッパで起こった大きな宗教運動ですが、その背後には多くの神学者が関わっていました。彼らはカトリックの教えに疑問を投げかけ、新しい信仰のあり方を模索しながら、プロテスタントの基盤を築いていったのです。今回は、宗教改革期に重要な役割を果たした神学者を紹介していきます。
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まずは、宗教改革の中心人物となった神学者たちを見ていきましょう。
ルター派の創始者として最も有名な神学者です。1517年に「95か条の論題」をヴィッテンベルク城教会の扉に掲示し、贖宥状(免罪符)の販売を批判しました。「信仰のみ、聖書のみ」を強調し、カトリック教会から独立したプロテスタントの基礎を築いたのです。
改革派教会(カルヴァン派)の創始者です。ジュネーヴを拠点に「予定説」を唱え、厳格な信仰生活を推奨しました。著書『キリスト教綱要』はプロテスタント神学の基本書とされ、オランダ、スコットランド、アメリカのピューリタン運動などにも影響を与えました。
スイス宗教改革の指導者です。ルターと同じく「聖書のみ」を重視しましたが、聖餐(パンとワイン)の解釈でルターと対立しました。チューリッヒを中心に改革を進めましたが、カトリック勢力との戦いで戦死してしまいます。
宗教改革の波は各地に広がり、多くの神学者が新たな信仰の形を確立していきました。
ルターの盟友であり、ルター派神学を体系化した人物です。1530年の「アウクスブルク信仰告白」を起草し、ルター派の教義をまとめました。
スコットランド宗教改革の指導者であり、カルヴァンの影響を受けて長老派教会を確立しました。イングランドとスコットランドの宗教政策にも大きな影響を与えました。
カルヴァンの後継者であり、ジュネーヴの改革派教会を率いました。カルヴァンの神学を発展させ、フランスやオランダのプロテスタント運動にも影響を与えました。
宗教改革に対抗し、カトリック教会を立て直そうとした神学者もいました。
イエズス会の創設者であり、カトリックの対抗宗教改革の中心人物です。厳格な教育と布教活動を通じて、プロテスタント勢力に対抗しました。
カトリックの神学者であり、プロテスタントの教えを論破するための著作を多く残しました。彼の神学はトリエント公会議後のカトリック教義の形成に影響を与えました。
イエズス会の哲学者・神学者であり、カトリック神学の理論を発展させました。彼の思想は後のヨーロッパの法学や政治哲学にも影響を与えています。
宗教改革期には、ルター、カルヴァン、ツヴィングリといった指導者がプロテスタントの基盤を築き、その影響を受けた多くの神学者が各地で改革を進めました。一方、カトリック側もロヨラやベラルミーノらが対抗宗教改革を推進し、キリスト教世界の変化に対応しようとしたのです。このように、宗教改革は一人の人物ではなく、多くの神学者によって形作られた大きな流れだったといえるでしょう。