宗教改革の中心地まとめ

宗教改革の中心地

このカテゴリーでは宗教改革の中心地に関する情報をまとめています。ドイツのヴィッテンベルクをはじめ、改革が盛んだった地域とその地域ごとの特色について探っていきたいと思います。

宗教改革の中心地まとめ

宗教改革は、16世紀にヨーロッパ各地で起こり、それぞれの国や都市が異なる形で改革の中心地となりました。ドイツのヴィッテンベルク、スイスのジュネーヴやチューリッヒ、イングランドのロンドンなど、各地で異なる指導者のもとで独自の宗教改革が展開されたのです。今回は、宗教改革の中心地となった都市や地域をまとめて紹介します。

 

 

ドイツの中心地

ドイツ(当時の神聖ローマ帝国)は宗教改革の発端となった地域であり、多くの重要な都市が改革の舞台となりました。

 

ヴィッテンベルク

宗教改革の出発点となった都市で、1517年にマルティン・ルターが「95か条の論題」をヴィッテンベルク城教会の扉に掲示しました。ヴィッテンベルク大学では、ルターの思想が広まり、彼の協力者であるフィリップ・メランヒトンもここで活動しました。

 

アウクスブルク

宗教改革の政治的な転換点となった都市で、1555年にアウクスブルクの和議が結ばれました。この和議により、「領主の宗教がその領地の宗教を決める」という原則が確立され、ドイツ国内でルター派の存在が正式に認められました。

 

シュパイアー

1529年のシュパイアー帝国議会では、カール5世がルター派の拡大を制限しようとしました。しかし、ルター派の諸侯がこれに抗議したことから「プロテスタント(抗議する者)」という言葉が生まれました。

 

スイスの中心地

スイスでは、ルターとは異なる形で宗教改革が進みました。

 

チューリッヒ

スイス宗教改革の発祥地であり、フルドリッヒ・ツヴィングリがこの地で宗教改革を主導しました。ツヴィングリは聖書のみを信仰の基盤とし、偶像崇拝を排除し、カトリックのミサを廃止しました。

 

ジュネーヴ

ジャン・カルヴァンが宗教改革を主導した都市で、カルヴァン派(改革派教会)の中心地となりました。ジュネーヴでは、厳格な道徳規律が敷かれ、信仰の自由を求める多くのプロテスタントがこの都市に集まりました。後にカルヴァンの影響はフランス、オランダ、スコットランドへ広がりました。

 

イングランドの中心地

イングランドの宗教改革は、政治的な動機が強く関わっていました。

 

ロンドン

イングランド国教会の中心地となった都市で、1534年にヘンリー8世がローマ教皇の権威を否定し、「国王至上法」を制定しました。ロンドンの宮廷や大聖堂が宗教改革の中心となり、エドワード6世、エリザベス1世の治世ではプロテスタントの影響がさらに強まりました。

 

フランスの中心地

フランスでは、プロテスタント(ユグノー)とカトリックの対立が激しく、宗教改革は主に都市部で進行しました。

 

パリ

パリでは、ユグノーとカトリックの対立が続き、1572年にはサン・バルテルミの虐殺が発生しました。フランスの宗教改革は困難を伴いましたが、最終的に1598年のナントの勅令によってユグノーに信仰の自由が認められました。

 

ラ・ロシェル

ユグノー(フランスのカルヴァン派)の拠点として知られ、フランス国内でプロテスタントの自治都市として機能していました。しかし、17世紀にカトリック勢力によって制圧されました。

 

オランダの中心地

オランダでは、カルヴァン派が広まり、それが独立運動と結びつきました。

 

アムステルダム

オランダ改革派教会の中心地であり、プロテスタントの商人や学者が集まる場所となりました。オランダはスペイン(カトリック)と対立し、1568年に八十年戦争が始まりました。最終的に1648年のウェストファリア条約によってオランダは独立を果たしました。

 

その他の地域

スコットランド(エディンバラ)

スコットランドでは、ジョン・ノックスによってカルヴァン派の影響を受けた長老派教会が確立されました。エディンバラはこの改革の中心地となり、スコットランド独自のプロテスタント教会が形成されました。

 

ポーランド・リトアニア(クラクフ)

ポーランド・リトアニアでは、一時的にプロテスタントが広まりましたが、後にカトリックの勢力が巻き返しを図り、プロテスタントは衰退しました。

 

宗教改革の中心地まとめ

地域 中心地 主な動き
ドイツ ヴィッテンベルク ルターの「95か条の論題」発表
スイス ジュネーヴ カルヴァンの宗教改革
イングランド ロンドン ヘンリー8世によるイングランド国教会の成立
フランス パリ ユグノー戦争とサン・バルテルミの虐殺
オランダ アムステルダム カルヴァン派の拠点、独立運動

 

宗教改革は、各地で異なる形で展開されました。ドイツのヴィッテンベルクではルターが宗教改革を開始し、スイスのジュネーヴではカルヴァン派が広まりました。イングランドではロンドンが国教会の中心となり、フランスのパリではユグノー戦争が起こりました。このように、宗教改革はヨーロッパ全体に広がり、それぞれの地域で独自の歴史を形成していったのです。